ホメオパシーは人間全体を見る治療

ホメオパシーは人間全体を見る治療です。

それを忘れないようにしましょう。

 

ではその人間とはどんな生き物なのでしょうか?

 

私たちが何かに触れるとき、

(例えば、花、動物、川の水、木など)

 その中に宇宙のように、果てしなく続く広い世界を感じることがあります。

 

植物の葉脈、動物の体温、川の水の冷たさ、木の中に流れる水の音、土の匂い、

それらは私たちを一瞬にして違う次元へといざなってくれます。

 

 私たちの体に備わった何かが、何かに触れた瞬間から動きだす不思議な感覚は、

瞬にして私たちの記憶をどこかへ導いてくれます。

 

ある夏の日の満員電車で、私の頬を心地よい風が撫でて行きました。

「今の風はどこからやってきた風かしら?」

そんなことをぼんやりと思いながら通勤していたことがありました。

 

その風は私の頬だけでなく、

どこか遠い国の人々や動物たちの頬も撫でてきたに違いない。

 

私は満員電車に乗っていることなどスッと忘れて、

思いは果てしなく遠いどこかの国の人々や、森や空、地球を包む宇宙へと広がって行きました。

人間の体や精神は一瞬にして時空を超えていける、ものすごい何かを備えているのだな、と気が付きます。

 

私たちは人間の何を治療しているのかといえば、

ものすごい何かを備えている体や精神を相手にしているのですね。

 

 

ホメオパシーを使う際に

ホリスティック(全体)という考え方が出てきます。

 

人の健康とは部分的に捉えるのではなく、

「身体・心・精神」が一つになって健康体を作り上げている、という考え方です。

つまり、人間そのものを見ていった先に真の健康がある、ということです。

 

「身体・心・精神」に働きかける療法は多くありますが、その中でもホメオパシーは

慢性症状を持つ患者さんに合ったレメディを探していく際に、限りなくその方の

「身体・心・精神」をカバーするレメディを必要とします。

 

実際の臨床では、

症状を100%カバーできるレメディを選ぶことは至難の業で、

世界の先駆者ではない私たち凡人は「なるべく近いレメディ」を選び使っていきます。

 

そうすることで症状が1つ終わり、2つ終わり、何層にも重なって絡まっていた症状がほどけて行き、

そして患者さんの健康レベルが高まってきた頃に治療のフォローアップの期間が

次第に長くなって行きます。

 

このように健康レベルを高める過程を踏むには、ホリスティックに患者さんを見ていかなければならない、

とうことはもちろんですが、

 

ホリスティックに患者さんを見ていった結果として、正しいレメディを選ぶことができる

ということが分かります。

 

ホリスティックでなければ真の治療にたどり着けない、ということですね。

 

思い出して下さいね、私たちは何を治療しているのでしょうか?

ものすごい何かを備えている体や精神を相手にしているのですね。

 

ホリスティックという言葉が独り歩きしていない、

実直なホメオパシー治療は、卓上の理論も必要ですが、

それよりも先に実践の積み重ねによって成り立っています

  

講座では、患者さんの全体をよく見ること、症状を観察すること、

をお伝えしていますが、

 

ホメオパシーのレメディを使うためには

必要なことだからですね。

  

始めはどうしても人は細部を抜き出して見ようとしますが、

それでは人間全体は捉えられません。

 

絵を描く時と同じように、

細部と全体のバランスがとれて初めて絵は見られるようになります。

 

細部だけ具体的に描いても

全体も忘れずに描いていかないと、絵は完成しませんね。 

ホメオパシーは絵を描くことと同じです。

 

そして何よりも

人間をどのように見るか、ということですね。

私たちは細胞や臓器を寄せ集めただけで

自分の体や精神をを作り上げているのではないはずです。

 

客観的に全体と症状を観察すること、

これがホメオパシーのトレーニングになります。

 

始めは少しトレーニングが必要になりますが、

講座で皆さんのケースを持ち寄って発表するときに、

何度でも軌道修正をし練習をします。

 

その機会がとてもエキサイティングで盛り上がる、話の尽きないひと時となるのは、

 

参加されている方々が、

生身の人間を相手にケースを取ることで、卓上で学んだ理論が本当だったと再確認でき、

そこに知らなかった驚きと感動があるからに他なりません。

 

人が癒されていく過程を目の当たりにすることで、

ホリスティックな見方が自然と出来るようになり、

必要なことなのだと気づいていけると思います。

 

私たちの体や精神は決して部分の寄せ集めではなく、

細部と全体がお互い連動しあって成り立ち、

それはものすごい何かを備えているものであることを忘れずに、

 

治療の根源となるホリスティックな考え方を

ぜひ身に着けて行きましょう。